コロナ感染者数の増大に伴いまして、これからの授業づくり講座を、どのようにおこなっていこうか、と実行委員会で話し合いました。会場が当面は使えないことと、都心に集まることが難しいためです。
1.年間計画表は、ひとまず削除して下さい。そのつど、お知らせしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
2.まずは9月講座についてお知らせします。
9月講座紹介
日 時:9月13日(日)10:00~13:00
方 法:ZOOMでおこないます。
テーマ:「主権者意識を育てる中学校地理学習をめざして」
講 師:石戸谷 浩美さん(東京・中学校教員)
内 容:
「地理学習で何を?」と問われれば「なんでもあり」と答えます。異文化理解から地球環境保護や平和実現につながる政治や経済のあり方など、授業者がこれだと思うテーマを見つけたら、地域や順番にかかわらず、どんどん取り上げればいいと思っています。
今回は、2年生の九州地方の授業で「長崎・諫早湾干拓」のドキュメンタリー番組を見せた実践をもとに、日本地理で日本の政治のあり方を考えさせ、主権者意識を育てるということの意義や可能性、どんな工夫が必要かを、実際の番組を見ながら、みなさんで考えていきたいと思います。
Zoomを使っての初めての講座です。いろいろと不具合が起こるかもしれませんが、ともかく挑戦してみますので、よろしくお願いいたします。
参加申し込み:
下記のアドレスに、メールでご連絡ください。その時、携帯番号もお教え下さい。
takako-ashibi@amail.plala.or.jp (黒田)
開催日が近くなりましたら、みなさんのアドレスに、当日のZoomのIDとパスワード、そしてPDFで報告資料をお送りします(可能でしたら、資料を印刷して、お手元に用意してご参加下さい)。
9月授業づくり講座のまとめ
「主権者意識を育てる 中学校地理学習をめざして」
2020年9月13日(日)
講師 石戸谷浩美(東京学芸大学附属竹早中学校教諭)
司会 宮下和洋
1.参加者 19名
小学校 3名、 中学校 5名、 高校 2名、 特別支援学校 4名
大学 1名、 大学生 4名
2.講師からのコメント(抜粋)
たくさんの方に参加していただき、また貴重なご指摘をいただくことができ、心から感謝申し上げます。発表者として、なによりビデオをZoomで見せられるか心配でした。
やっぱり、発表者が一番勉強になります。諫早湾の干拓堤防問題のドキュメンタリー番組を使った1時間の授業報告でしたが、映像の使い方では番組をフルで使うかどうかや、途中で止めて発問するアイディアをいただいたり、最後の発問の言葉の吟味など、授業の時には気づけなかったことをご指摘いただき、まだまだこの歳になってもわかっていなかったことが恥ずかしいですが、そのことで意見交換ができたことがうれしいです。
北海道の山本さんからは、講座の間にチャットで授業展開の代案をいただいたり、私の思いつきに「それいただき!」とやりとりできたのも、Zoomだからこそですね。遠く離れた場所から、リアルタイムで意見交換できるのはすばらしいですね。直接対面で話せた方が互いの表情もわかり、見せたい実物も使えたりしますが、今後の講座の1つのあり方を示せたようです。
地理学習が、自然決定論で終わらず、ものづくりの工夫を学び、地域で働き生活する人々のすばらしさを知ることで、そうした人々の人権を守ることの大切さを考え、また、国政レベルの問題と闘う地域の人々の姿を学ぶことで、自分たちの問題として政治に関わるという意識を育てるのだ、という、当たり前のことにやっと気づきました。政治をしくみだけで抽象的に語るのでなく、地域の現実のなかで闘う人の姿として学ぶ場面として、地理学習が生かせたら、まさに主権者を育てるための「種まき」になるのではないか。
地理学習の既成概念を打ち破り、「何でもあり」こそ地理だ、という大学の恩師の言葉を授業づくりにも生かしていきたいし、みなさんにもそう思ってほしいと思います。
3.参加者の感想(一部抜粋)
* 本日はこのような機会を作って下さりありがとうございました。沢山学ぶことがあってとても有意義な時間になりました。特に私は大学の石出みどり先生の授業で「良い問いは良い授業をつくる」という事を学んでいたので、今回子どもたちへの問の投げかけ方などについて多くの意見が交わされた事で発見が沢山ありました。また、石戸谷先生のお話を聞いてこの講座を受ける前は諫早湾の問題をなぜ1時間も使って取り上げるのだろうと思っていました。ですが、今日お話を聞いて主権者意識というものが分かりこの事例を取り上げた理由を知ってスッキリしました。現役の先生方の問やお話、また同じ大学生の方の考えも分かりとても貴重な時間でした。
*石戸谷先生のお話を聞いて「地理=暗記、つまらない」という印象がガラッと変わりました。地理を教えてみたいとさえ思えました。 授業計画や教材選びをどのようにすべきかのヒントを頂きました。先生の授業計画書を見るとタイトルから工夫されていて、きっとラインナップを見て生徒も次の授業を楽しみにしているのだなと思いました。農家の人の技術のすばらしさ、主権者として国と戦っている人を紹介することで自分たちの主権者意識を育てるという話納得しました。 授業映像を見た後は、国・政府はひどいなという印象が残りました。自分たちの権利を守るためにも色々勉強しなければならないとも生徒は感じると思いました。 その気になれば、すべてが教材研究。この言葉を受け止めて研鑽に励みたいと思いました。
*地理という学びの見方が広がりました。今まで自分が受けてきた授業でしか、地理という学問を見れなかったのですが、公民的分野も取り入れながら、その地域の問題を捉えていくというのは大事な地理的視点ですよね。特に現在進行形で行われていることに目を向けることで、今も困っている誰かがいるという事実に気付けることが中学生にとっては大きいことだと思います。どうすればいいかを考え続けるというテーマを非常に具体化した授業で、とてもおもしろかったです。年間計画や単元計画など、大きな視点で捉えるということを学生は学生のうちには経験できません。模擬授業も経験が限られており、単元をどう捉えるか、など俯瞰的に見ることがなかなか難しいです。きっとそれは現場に行って失敗しながら学んでいくものだと思います。しかしこのような場で、実際の先生の話を聞けることが、少しでも視点を広く、アンテナを高く張れることにつながると思いました。
*まずは、私はじめ学生の参加しやすい状況を作っていただきありがとうございました。
日本近現代史を専攻している私にとって、遠く感じる存在であり、難しそうと感じる存在であり、教員になるに向けて最も不安要素であったのが「地理」でした。今回の講座を通して、地理だからこそ出来ることが沢山あるということを学ぶことができました。
「地理学習がまさに「種まき」になるように」という、自分の中になかった授業観や「地理観」を持つことができただけでも、今回参加した意義があったと感じています。何より、ベテランの石戸谷先生の実践例を見て、色々な意見交換ができたことが良かったと思いました。全27枚の熱い学びの多い資料を用意してくださった石戸谷先生に感謝申し上げます。また、私の拙い意見も受け入れてくださった皆さんにも重ねて感謝を申し上げます。
次回も可能であればぜひ参加したいと考えています。