1月授業づくり講座ー感想を追記

1月授業づくり講座

日 時:1月23日(日)10:00~13:00

*zoomでおこないます。

報告者:津田隆広さん(特別支援学校教員)

テーマ:小学校採用の私が特別支援学校で学んだこと

内 容:小学校採用だった私が特別支援学校に配属して8年が経ちました。まだまだ勉強不足で、学び続けることの重要性を痛感する毎日です。そんな中で感じることが多いのが特別支援教育というと多くの先生方が急に身構える傾向があることです。もちろん特別支援教育の専門的知識には学びに時間を必要とするものもありますが、すべての子どもたちに活かせる部分は決して難しいものばかりではありません。今回の講座は全ての子どもたちに使える視点、環境づくりと実態把握を中心にお話ししたいと考えます。

*参加を希望される方は、下記アドレスに御連絡下さい。 前日までに資料とURLをお送りします。 takako-ashibi@amail.plala.or.jp 090-4381-4463(黒田)

社会科授業づくり講座報告 1月20日(日)

発表者:津田 隆広(特別支援学校教諭)
テーマ:「小学校採用の私が特別支援学校で学んだこと」

*参加者 20名(学生6名、小学校2名、中学校4名、高校2名、特別支援6名)
<参加者の感想>
〇今回の講座を受けて、小学校の教員になる上で私にも身近な話であり、とても学びのあるものでありました。障がいの有無に関わらず誰もが安心して自由に生活することができるように環境を整備することが大切であると考えます。また、自分では手が負えないからといって障がいのある児童と正面から向き合わないのではなく、しっかりコミュニケーションをとって心身ともに安心できるように、心と心の距離を近づけていくことが大切ではないでしょうか。とても学びのある講座をありがとうございました。   

〇特別支援教育について、介護等体験や講義で知識を学ぶことはありますが実際に働いていらっしゃる方のお話を聞く機会はなかなかないため、様々な学びを得ることが出来ました。特に構造化やアセスメントのお話について、生徒さんの様子や保護者の方のニーズに応えるために津田さんが尽力されているということが伝わり、自分も津田さんの様に生徒と全力で向き合えるような教員になりたいと強く感じました。また、構造化のお話の中で「具体的にわかりやすい表現を用いて伝える」ことの大切さを教えて頂きました。日常生活や教職に就いた際の人との関わりにおいてもこの伝え方は円滑なコミュニケーションのために必要なことだと感じると同時に、わかりやすく伝えることは相手への思いやり・リスペクトの気持ちだと考えました。

〇素敵なお話をありがとうございました。私用のため最後までお話を聞くことが出来ず申し訳ありません。また、質問にも丁寧に回答していただきありがとうございました。
今回津田さんのお話を聞いて学んだことが2つあります。
1つは発達障害の方が感じている世界についてです。私たちはつい、障害のある方が自分たちとは別の世界で、別の考え方・合理性で生活していると考えがちです。しかし、Tくんについてのお話を聞いていると、Tくんの中にも私たちと同じ考え方・合理性があって、それが何らかの障壁のために違って見えているだけなのだろうということが感じられました。だからこそ、具体的な作業指示を出すことで健常者と同じ水準で労働することが出来るのでしょう。

〇特別支援学級の情報や特別支援教育に関する知識は、最低限知らなければならないことを強く感じた。特に、津田先生が述べていた「注意が通じない難しさ」は、小学校の教育実習で痛いほど思い知らされた経験がある。特別支援学級(情クラス)の授業を見学したとき、ある児童が図工の作業中にボンドが思い通りにくっつかないことに苛立っていた。すると、持っていたけん玉を担任に投げつけ、パーティションを倒して暴れ始めた。言葉で注意しても聞かないので、担任がその児童の体全体を押さえつけ、その間に私が教頭を呼んだ。やってきた教頭が別室でクールダウンさせたところ、落ち着きを取り戻し、作業を再開した。この経験から、今まで特別支援を要する子どもに目を向けていなかったことに気付かされ、めねぎ農園の鈴木さんのように「ガーン!」となった。困り感を持った子どもにしか行えない限界性にどうしようもなさを感じるとともに、今の学校教育の課題を見いだせるのではないかと考えた。

〇これまで特別支援学校については大学授業「特別支援教育」で少し学んだだけでした。そこで、今回の社会科授業づくり講座では津田先生の教育実践を含めて「特別支援教育」について深めることができました。まさに津田先生がおっしゃる通り「全ての子どもたちに使える視点、環境づくりと実態把握」を今回の社会科授業づくり講座では勉強させていただきました。私自身、教員1年目でありますが、「結局、教育とは何を目指しているのか」という大きな問いについて、別の視点から考える良い機会となりました。ありがとうございました。

〇今回の講座の内容はとても参考になりました。
多くの子どもがいる中で、正直なところ個別の対応までなかなか手が回らないことも多いのですが、工夫次第で確実に成果を出していく特別支援学校の取り組みに触れ、自分もできるところから、また始めてみたいと思いました。

〇最初の自己紹介から引き込まれました。津田さんとは長いおつきあいになりますが石井建夫さんから評価されたことから教職を目指したと初めて知り、いつも優しくひとりひとりを見守っておられた石井さんの大きさを改めて思いました。発達障がいについての説明もよく分かりました。さっそく石戸谷さんが貸して下さった『リエゾン』を読み、さらに考えています。「社会の中で働く」ことを実現するための特支の教員の苦労も察しました。私は20代後半に、新聞委員会の顧問をしていて「養護学校」と自校の生徒会の交流や地元の共同作業所に取材に行き、ました。共同作業所は地元ということもあって、バザーなどを手伝わせて頂きました。賃金が少なく、それでもここに来るまでは、テレビを見ているだけで、片方の手が動くことも解らなかったという方がゆっくりゆっくりと洗濯ばさみを揃えている姿に感銘しました。その方は、その作業を通じて社会とつながっているのだと知りました。

〇私は中高社会科の教員になることを考えているため、直接的に特別支援教育に関わることは少ないかもしれません。ただ通常学級のなかにもグレーゾーンの子がいるため、特別支援について知っておくことは必要だと思い、今回の講座に参加しました。印象に残ったのは支援の方法についてです。靴を正しく履くための方法についてでしたが、ただ履かせるだけではなく、支援とその実際の年齢があっているかを考えるとのことでした。私の考えにはなかったことで、発達に遅れがあるなどしても1人の人間として尊敬をもって接するとはこういうことだと実感しました。

〇改めて特別支援教育についての最新の知識や進路の話などを振り返ったり、津田さん自身の話から学校現場のことを知ったりと興味深い話がたくさん聴けた講座でした。
私は、肢体不自由の小学部、知的障害の高等部の児童生徒と学校介護職員、教員として一緒に過ごしてきましたが、知的障害の小学部での教育について知らないことがたくさんあったことに驚きました。小学部ではやんちゃな児童も中学部や高等部に上がる頃には落ち着いて過ごせるなど、今の高等部の生徒の成長は本人の努力ももちろんありますが、教員の分かりやすい指導や教育があってこそだと思いました。津田さんの熱い気持ちが伝わってくる講座でした。明日から学校で役立つ話も聞けたので、生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

〇最新の知的障害特別支援学校の状況がわかる話をありがとうございました。
私は数年前、長年勤めた肢体不自由特別支援学校退職し、今は非常勤講師をしています。肢体不自由特別支援学校と知的障害特別支援学校の教育環境、カリキュラムはかなり違っていることは勿論承知しているのですが、その実状はよく知りません。それが、今日の報告で特に教育環境の最新の状況が分かりました。よく分かりました。ありがとうございました。津田さんも「さつまいも」学習報告の後も同様な授業づくりを模索されていると思います。また機会があればそういう報告をしてください。

〇特別支援学校の様子であったり、児童生徒の実態や支援・指導方法を聞いたことで、4月から特別支援学校の教員として働く見通しをもつことが出来ました。

〇津田さんの話で学んだのは、以前「注意欠陥多動性障害」等と普通に言ってきましたが、今は「害」をとるという話。今、研究が進み、随分と「共生社会の実現」に近づいている部分があると同時に、コロナ下での差別や蔑視、能力主義や分断が進んでいると思います。今後も若くてパトスのある皆さんがいろいろ発信してくれることを望みます。

〇司会:宮下(実行委員)
1月講座も、学生の方をはじめや幅広い校種の先生方にご参加いただき、大変有意義なものとなりました。発表者の津田さんとは、大学の同級生でもあり、同じ特別支援学校の教諭として切磋琢磨しあう仲なので、今回の講座を私自身が一番楽しみにしていました。津田さんの話を聞いていて、「そうそう、そうなんだよね。わかるな~」「なるほど」など現場で働いている人間だからこそ共感できる部分がたくさんありました。特に「めねぎ農園のが・が・がーん」の本の話にあるように、障害のある方や特別支援教育への理解と支援の考え方が社会にもっともっと浸透してくれるとよいなと思いました。
また、これまで特別支援学校で培った経験について堂々と語る津田さんの姿に、改めて自分ももっと成長しなければならないと感じました。誰もが、「わかる・できる授業づくり」を目指すことは、どの校種の授業づくりにおいても大切なことだと思います。ぜひ、今回の講座で得たことを、参加者の皆様がそれぞれのフィールドで生かしていただけたら幸いです。新型コロナウイルスの影響下の中、先の見えない時代ですが、そんな中でも、当講座にご参加いただいた皆様ありがとうございました。
次年度の授業づくり講座もよろしくお願いいたします。

〇発表者:津田隆広さんより
皆さん、先日は講座にご参加いただき本当にありがとうございました。
授業づくりの顧問の先生方からも「話が長かった」とのお言葉をいただきましたが、時間を超過してしまったことは非常に反省すべきことです。臨時的任用をしていた時、私が中学生の頃、担任をしてくださった恩師と一緒に働く機会があり、常々恩師に指導されていたことが、「どんな良い授業も時間を守らなければ0点」ということ。個人的には今回の発表は時間を超過した時点で残念ながら0点です。ただ、今回参加してくださった20人の方々が3時間以上の時間を、私の話を聞くことに使っていただいたので、それに見合う内容を準備しようと努力はできたのかなと思います。
感想文もすべて読ませていただきました。どの感想にも私が皆さんにお伝えしたかったことが少しでも伝わったことが読み取れ、準備してきて良かったと嬉しくなりました。そんな中でも特別支援教育の世界で子どもたちを見てこられた、山下洋児様、竹下忠彦様お二人の先輩方の感想には自分の至らない点、勉強不足な部分を伝えていただき、身が引き締まる思いでした。山下様からご意見いただいた「精神薄弱」の部分ですが、完全な自分の勉強不足です。教えていただきありがとうございました。特別支援教育とひとまとめになってはいますが、特別支援学校の教員であっても知的から肢体不自由校に行くだけでも違う知識が必要になりますし、他にも病弱・視覚・聴覚とそれぞれの専門性が求められます。この5種をどのように紹介するかで悩み使用した言葉でしたが、間違って使用していました。また、特別支援学校での社会科の実践を聞けず残念だった様子が読み取れました。現状埼玉県の知的の特別支援学校で、時間割に社会科・理科の時間が明確に確保されている学校は少なく、課題学習も国語や数学が主な学習として取り組まれているようです。現在、勤めている毛呂山特別支援学校は高等部の時間割に社会科・理科がある学校なのですが、今年度はまだまだ実践が思い通りにならず、紹介できるものになりませんでした。高等部で仕事が続けられそうでしたら次回は実践の報告ができればと思います。すみませんでした。
 次に竹下忠彦様からいただいたご質問ですが、あれはあくまで私が担任したTさんの障害がASDだったのでASDのコミュニケーションにおける困難さの紹介から発達障害を理解する手掛かりを掴んでいただきたいという形で説明させていただきました。講座の参加者メンバーが主に通常学級の先生方なので、発達障害について事細かにすべて紹介することは時間的にも厳しく、また、私が意図することではなかったので、発達障害の詳細についてお知りになりたい方は本やネットで調べていただきたいとご紹介させていただきました。説明が不足していて申し訳ありません。
今回の発表はいつもの社会科の実践発表とは違い、皆さんに予備知識や補足で分かりやすく説明する必要があるので、その時間をどのように最小限で分かりやすくまとめることができるかも今後の課題であると感じました。逆に質問を参加者の方から募集して、それに答える形で準備をしてくるなんて発表もありですかね。当日はあまりに疲れて講座後、昼食もほとんど食べず、すぐに寝てしまうくらいヘトヘトになってしまいましたが、あれを当たり前のようにされる先輩方はすごいなと思いました。
夏休み頃から「発表を頑張りたい!」「3時間も引き受けてしまうなんて…」とプラスとマイナスの気持ちが入り混じる中で準備をしてきましたが、自信がない部分は再度、書籍を読んだり、他の方の研修内容、知識豊富な同期に内容を確認したりして勉強しなおしたので、本当に自分自身を見つめなおす良い機会となりました。至らない点も多くあったとは思いますが、今後も講座に来てくださった方々に負けぬよう、私も一歩一歩、実践を積み重ねていければと思います。今後も社会科授業づくり講座をよろしくお願いいたします。