カテゴリー別アーカイブ: 歴教協本部

社会科授業づくり講座 1月講座のご案内

社会科授業づくり講座 1月講座のご案内

日時 : 2024年1月21日(日)10:00~12:30
※Zoom によるオンラインでの実施(ID 等は後日連絡します)
参加費 500円(学生または年間費をお支払いいただいている方は無料)
テーマ 社会科授業づくり講座 実行委員・顧問からの報告
講師
津田 隆広さん(埼玉県特別支援学校教員)
宮崎 令子さん(埼玉県元小学校教員)
今回の報告は10年次研修の課題研究報告になります。私が現在勤務する学校は知的の特別支援学校ですが、脳性麻痺の後遺症で知的障害と、麻痺からの両足尖足があり車いすを使っている肢体不自由な生徒が高等部に在籍しています。今回は肢体不自由の特別支援学校ではない本校で、どのようなアプローチで卒業後を見据えた支援を行っているか発表させていただきます。 また、それ以外に顧問の宮崎令子さんより「はだしのゲン」についてのお話など、授業づくりのメンバーが「今」向き合っていること(平和教育)について報告させていただきます。 いつもよりしっかりとした講座の形ではありませんが、参加者の方々と話ができる時間が比較的長くとれ、ホッとすると好評の講座となっています。参加者の皆さんも悩みがありましたら、是非この場で話してみませんか。もしかしたら解決のヒントが見つかる!かもしれません…(^^)

社会科授業づくり講座 11月講座のご案内 感想を追記

千葉県歴教協が後援をしているイベントです。

社会科授業づくり講座11月講座のご案内
日時:2023年11月12日(日)10:00~13:00
※Zoom によるオンラインでの実施(ID 等は後日連絡します)
参加費 500円(学生または年間費をお支払いいただいている方は無料)
テーマ 君ならガマから出るか? 2022 ひめゆり学徒隊と向き合う沖縄戦の授業
講師 柄澤 守 さん(高等学校教員)


■教員の方、学生の方、教員を志す方、どなたでも気軽にご参加下さい。
■途中参加・退室も可能です。ご都合に合わせての参加をお待ちしています。
■参加を希望される方は、11月5日(日)までに、お名前・所属(学級担任をしている場合は学年も)を下記のメールアドレスにご連絡ください。
■講座の様子については、映像記録を取らせていただき、後日、範囲と期間を限定した上で公開することを検討しています。予めご了承ください。

社会科授業づくり講座 9月講座(感想を追記)

千葉県歴教協が後援をしているイベントです。

日時 2023年9月10日(日)10:00~13:00
※対面とZoomによるオンライン の併用での実施。ID等は後日連絡します)
参加費 500円(学生または年間費をお支払いいただいている方は無料)
テーマ コロナ下の中学生~コロナ前とコロナ後をまたぐ3年間
講師 岩田彦太郎さん(中学校教員)
内容 コロナ前の2019年4月に入学した生徒たちを卒業まで3年間担当しました。この学年は1年生の頃に「コロナ前」の中学校生活を経験し、進級目前の全国一斉休校でそれを断ち切られました。2年生に進級したものの、生徒も教師も先を見通せない中で「よどみ」のような時間を過ごしました。そんな中でどうにかして生徒の自己肯定感を高めようと、学年全体で学習活動に取り組みました。その「もがき」のようなあゆみの中で生徒はどう変化したのか。そこで歴史教育・社会科教育が果たした役割とは何だったのかを話し合いたいと思います。

授業づくり講座 1月講座(感想を追記)

1月講座では、実行委員からの報告をもとに、参加者の皆様と成果のあった実践や日頃の悩みや疑問について共有できるような会にしたいと考えています。参加者の皆様も何か報告や検討したい資料等がございましたら、是非お持ちいただいてご参加ください。(もちろん、手ぶらでご参加いただいても大歓迎です!)

日 時:1月22日(日)10:00~13:00
オンラインでおこないます。

報告者と内容
◆森下 周亮(小学校教員)
今年度、クラスに在籍する特別な支援が必要な児童。その現状と、多くの失敗、その中のわずかな成果の報告を通して、特別支援についての知見をさらに深めていきたいと思います。

◆宮下 和洋(特別支援学校教員)
Formsを活用した授業評価について、授業と評価の一体化にむけたルーブリック評価の作成を行いました。生徒自らが自分の学びをしっかりと振り返ることのできる評価とは何かについて自分自身の考えや実践を報告します。

◆角之倉 宏彰(特別支援学校教員)
コロナウイルスで3年ほど行事が行えていなかった中で、担当している学年は異なりますが、今回修学旅行の応援として同行することになりました。特別支援学校での修学旅行の様子を報告したいと思います。

■参加を希望される方は、事前にミーティングIDや資料等を送りますので、1月15日(日)までに、お名前・所属(学級担任をしている場合は学年も)を下記のメールアドレスにご連絡ください。 

■Zoomを使用できる環境の準備をお願いします。

【問い合わせ先】
授業づくり講座担当・黒田 090-4381-4463 takako-ashibi@amail.plala.or.jp;
        歴史教育者協議会ホームページ https://www.rekkyo.org

○ 後援
歴史教育者協議会/東京都歴史教育者協議会/茨城県歴史教育者協議会
埼玉県歴史教育者協議会/千葉県歴史教育者協議会/神奈川歴史教育者協議会
全国民主主義教育研究会/地理教育研究会

社会科授業づくり講座 11月講座(感想を追記)

社会科授業づくり講座 11月講座
2022年11月13日(日)10:00~13:00   
方 法:Zoomによるオンラインで実施(※参加ID等は後日連絡します)
参加費:500円(※学生または年間費をお支払いいただいている方は無料)
テーマ 歴史総合・近代化と私たち
講師 周藤 新太郎さん(高等学校教員)
内容 約10時間程度「フランス革命と明治維新」の比較探求学習をグループごとに行いました。課題に対しての問いを立て、調べ発表する活動について報告します。今回の実践を通して今後の「歴史総合」の課題を確認していきたいと思います。

2022年 11月講座のまとめ
講座テーマ: 高等学校 歴史総合 近代化とわたしたち
「フランス革命と明治維新の比較探究学習」

講師:高等学校教諭  周藤 新太郎さん
【講師:周藤新太郎さんより】
今回報告に際して、歴史総合の前期での私なりに授業をまとめることができました。
とくに問いを作る4つのゾーンに生徒が書いたポストイットを分けて貼る方法について「よくわか
らない、興味がない」ゾーンに生徒が書いたポストイットに対してのご質問があり、私自身、その点
についての分析はなされていなかったことに気が付きました。
そこで、今すすめている授業では、分からない点を3段階に生徒で分類させそこから問いを作ら
せる方法をためしています。大変貴重なご質問をいただき感謝しています。
今回の報告をさせていただき、私なりに一歩前進できた気持ちです。ありがとうございました。
【参加者から】
*私は、勤務校で日本史の授業を担当しております。
フランス革命と明治維新、「刷新」といった意味では同じですが、両国の国家(国王や天皇)の
かたち、民衆の意識など、相違点もあると思います。 両者を比較し、「共通点」・「相違点」を見
出すことで、結果的に、子どもたちは両者の出来事の輪郭をえがけるようになるのかなと思いま
す。そこに比較探究の意義を感じました。
私は勤務校で中学歴史・高校日本史を担当していますが、日本における近代化(産業革命→
資本主義→社会主義など)や帝国主義などを説明する際には、諸外国の近代化・帝国主義につ
いても踏み込んで取り扱っております。
 一点(日本からみた世界)だけではなく、違った視点(世界からみた日本)から歴史を考察するこ
とで、また違った景色が見えてくると思います。そして、それぞれの視点を組み合わせることで、
より立体的に歴史を理解し、考察できるようになると私は思います。そのような意味でも、今回
の授業づくり講座、共感できるポイントが多かったです。歴史学習の根幹となるであろう「探究」
学習の実践のために、授業のかたちも、試行錯誤しながらも、従来の形から脱皮していかなけ
れば行けないと思います。
   生徒たちが比較しながら「問い」を組み立てていく授業、とても大切なことです。私も、これから
の授業づくりの一つの材料として参考にさせていただきたいと思います。

                             
*周藤先生の報告は、丹念な教材研究に裏打ちされていることが伝わってきました。生徒から問
いを立て、調査を通して検証し、考察していくという、生徒主体の実践に感銘を受けました。私が
経験してきた歴史の授業は、受験対策のための知識注入型であり、大学で歴史学を専攻した
時に激しくギャップを感じました。そのため、周藤先生のような、大学受験に囚われない、子ども
たちの学び合いや批判的思考力を大切にされている歴史の授業が広がることを願っています。
生徒からの問いの出し方として、「分かること―興味」を軸としたブレーンストーミングの方法は
大変勉強になりました。疑問を抱くことが苦手な生徒にとっては指標になると思います。また、4
人グループで疑問を出し合う活動は、生徒たちが自発的に調べるモチベーションを上げることに
つながると感じました。この場面の生徒たちの様子を是非直接見たいと思いました。
生徒たちが積極的に調べ、考察していることがプレゼン内容や考察レポートからも伝わりました
。特に、提示していただいた考察レポートでは、調べた情報をもとにグループ間で話し合ったこと
を、高校生なりに丁寧に考察している姿が目に浮かんできました。しかし、ここで気になったの
は、生徒Eの考察レポートにまとめられた情報の根拠が弱いことです。周藤先生の報告レポート
にも、「この生徒Eの『考察レポート』は、事実関係よりも、調べてまとめてあり、文章量も十分な
ので評価はAとした」とあるように、この授業では考察プロセスと表現に焦点が当てられていま
すが、やはり事実関係・情報の根拠も重視した方が良いのではないかと考えています。なぜな
らば、誤った歴史認識を持ったまま巧みな表現力をもつことは、極論、歴史修正主義につながり
得るからです。
最後の討論は、①「フランスと日本の政治は結果的にどちらが良かったのだろうか」という価
値判断、②「フランス革命と明治維新の影響は現在でもあるのだろうか」という現在との連関
、③「自分が参加するならフランス革命か明治維新か」という当事者性、④「明治維新が急進的
だったらどうなっていたのか」という仮定形、が主なテーマの分類で、このようなテーマが生徒か
ら発せられたことに素直に驚きました。生徒たちが、問い→調査→考察→発表という流れで満
足するだけでなく、さらに発表を通してまた問いを創り出し、考えを深めていけるように、周藤先
生が意識しながら指導されていることがうかがえました。また、討論の際の座席の配置を、教室
を囲むようにクラス全員の顔が見える形にすることで、生徒たちが対等な立場で意見が言える
HP用

ように配慮している点も勉強になりました。
今回の授業づくり講座で大変勉強になりました。改めてお礼申し上げます。また周藤先生に
学ばせていただきたく存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
*今回の周藤先生の報告を聞いて、今まで私が体験してきた歴史の授業とは大きく異なるもので
あることを改めて実感した。今までは、私も含めて大学受験対策で用語や人物をひたすら暗記
して乗り切る授業が多かった。しかし、歴史総合は課題・テーマ史が中心で探究する活動や話し
合い、発表する活動が多かったので、本当に大学のゼミのような感じであると思った。言い換え
れば、高校の段階で「自ら問いや課題を立て、その結論を出すために正しい情報をもとに根拠
を拾いながら調べていく」姿勢が求められていることを痛感した。もっと言えば、小学校の社会
科の段階から「調べ学習」の活動を行っていくことで、着実にレベルアップできるように指導して
いかなければならないと考えた。それが小学校教員としての責務ではないかと考えた。
  グループ討論では、情報リテラシーや図書館の活用について話題となったが、特に歴史は安
易にインターネットで調べると、信憑性を疑うようなものや思想に偏りのあるものがたくさん出て
くる。そういった情報を鵜呑みにせず、きちんと文献も合わせて調べることを確実に指導してい
かなければならないと感じた。大学生でも安易にインターネット情報だけでレポートを提出する
学生が多い。特に進学を考えている生徒が多いような高校では、より一層そういった姿勢を身
に付けさせることの重要性を実感した。
*本日は貴重なお話ありがとうございました。将来高校で世界史の教員を目指している私にとっ
て、とても参考になるお話でした。
今回まず感じたことは「難しい・・・」でした。若手の時にこれを実践できるかな・・・とは思いました
が、自分の将来の勤務校で使えるところを取り出して自分なりに追試していきたいと思いました
。石出先生の授業で遅塚忠美先生の『フランス革命』は読まされたのですが、今日の講座を機
にもう一度読み返したいと思いました。またこれからもイベントに参加させてください。ありがとう
ございました。                                         
*ご報告ありがとうございました。周藤先生の授業実践報告、以前より楽しみにしていました。な
ぜならば、大学時代の友人が、周藤先生の教え子であり、周藤先生の世界史授業に影響を受
けて、アルザス史に関心を持ち、現在も言語学の視点からフランス語やアルザス語の研究を進
めているからです。以下の計4点が印象に残りました。1点目は周藤先生の「歴史総合は何をや
っても良い」というお言葉です。その根拠の1つとして、「歴史総合」教科書計12冊は教科書会社
によって学習内容が大幅に異なります。さらに、先日公開された「令和7年度試験・共通テスト問
題」の「歴史総合・世界史探究」と「歴史総合・日本史探究」の「歴史総合」分野からも明らかです
。以下リンクになります
。https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou/r7houkousei.html 以上より、私自身は「
歴史総合=歴史の大きな変化について、現代的な諸課題を視野に入れて、問いと資料から探
究型の歴史学習」と考えております。すなわち、各教員と生徒が、「近代化と私たち」、「国際秩
序の変化や大衆化と私たち」、「グローバル化と私たち」について、関連するテーマを設定し、「
歴史の扉」を追体験できれば良いのではないでしょうか。2点目は「問い→仮説→資料収集→資
料分析→考察→発表」という探究のプロセスを意識された授業実践です。「歴史総合」では周藤
先生がおっしゃる通り、生徒が主人公になり、上記の探究プロセスを何度も繰り返していくこと
が重要に思われます。3点目は知識・技能を深める際に「年表づくり」という活動です。新学習指
導要領では「知識・理解」ではなく「知識・技能」になっていることからも「知識」を活用する「技能」
にも注目していきたいです。そこで、「年表づくり」という手法は参考になりました。4点目は「歴史
総合」のまとめに位置づけられる「現代的な諸課題の形成」について「進級論文」は良いですね
。すなわち、「歴史総合」では、最終的に、生徒が自らテーマを設定し、「問い→仮説→資料収集
→資料分析→考察→発表」を意識しながら、探究し続けることが目標になるのではないでしょう
か。そこで、「歴史総合」において「レポート」ではなく「定期考査」が有効なのか、疑問を感じてい
ます。最後に、周藤先生の「歴史総合」授業実践について続編も楽しみにしております。
*「問い」を立て、「調べ」、「まとめ」、「発表・共有」をし「振り返る」という学習の大切な流れについ
て、高校生ではどのようなことができ、どのような学ぶ姿になるのかのイメージを持つことができ
ました。小学校で行うには、レベルを下げたり、内容をかみ砕いたり、さらに手厚い支援が必要
になるだろうと思いましたが、周藤先生の実践を参考に、チャレンジしてみたいと思いました。特
に、問いを立てる際の「座標軸」については、ぜひ使ってみたいと思います。
ブレイクアウトルームでの意見交流では、学生、中学校教員、高校教員と様々な立場や視点
からの考えを聞くことができ、自分の考えが深まりました。中でも、「情報化社会と言われながら
、情報収集能力がみについていない」という意見については考えさせられました。社会の授業で

身につけるべき力をしっかりと身につけることができているのか、そのための展開や活動になっ
ているのか、自分自身の授業について反省する良い機会となりました。         
*周藤先生の授業実践は高校の歴史総合の専門性の高さが分かる報告でした。フランス革命と
明治維新を比較するという視点も私にはないものばかりでした。生徒たちの学習の様子でも様
々な角度から、2つの出来事を予想しているところもこの授業のすごいところだなと思いました。
私がこの授業を行うとして、まだまだフランス革命や明治維新、そしてその周辺の知識も足り
ないなと感じました。一方で歴史総合では、生徒たち自身が調べたり研究したりすることで歴史
を学ぶ意味や考える力の育成にもつながると思いました。教員としての専門性の高さも必要だ
と思うのでこれからも知識をつけていきたいと思いますし、歴史総合では生徒に考えさせたいこ
と等、教え方の幅もまた広くなっているように思います。そのような授業が歴史総合で行えるの
か知っていきたいと思いました。ありがとうございました
*今回は新しい様々なことが勉強になりました。
  歴史総合は中学校で学んだ地理、歴史、公民など歴史だけでなく、様々な知識が求められま
す。それと同時に私たち日本国民が持っている感覚が、必ずしも世界のスタンダードではないと
言うことも学ばなくてはならないということも感じました。
今まで学んできたことの知識の活用ということが歴史総合には求められますが、個々人の知識
の幅や差はバラバラで、これを把握しながらどのように授業を進めるのかとても難しいと感じま
した。まだまだこの試みは始まったばかりで、先生が今後どのように歴史総合の授業を発展さ
せていかれるのかとても興味があります。また機会がありましたら、どのように今回発表してい
ただいたものと考え方の変化や取り組みの変化が生まれたのかお聞きしてみたいです。
  私は、現在、特別支援学校高等部に勤務していて、今回の歴史総合のような授業はなかなか
展開できない実情がありますが、個々の社会科の知識の広がりをどのように支援していくべき
かとても考えさせられました。生徒の実態は広く、文字理解がない生徒から、中学校1年生の内
容を勉強している生徒までいるので授業展開も含め自分の授業をもう一度考えたいと思います

【司会から】
11月講座は、歴史総合の授業づくりをどのようにおこなうかについて、周藤先生より報告があ
りました。グループの中で生徒自らが問いを考え、考察しながら歴史を学ぶという形式が、主体的
・対話的で深い学びの実践になっており、教師が一方的に教え込むのではなく、生徒が主体的に
学びに向かう授業スタイルが確立されていて、大変勉強になりました。進学校の授業は少なから
ず、大学受験を念頭に置いて授業を進めることが期待されている中でも、今回の報告のように生
徒が考え・学ぶ授業スタイルを大切にしていきたいと強く感じました。
また、調べたことをパワーポイントにまとめ、発表する形式も生徒の表現力を培う上でとても有
効だと思いました。私の勤務する軽度知的障害の特別支援学校の生徒もこれからパワーポイント
で「SDGs」について調べたことを発表する予定ですので、今回学んだことを自分の実践に役立て
ていきたいと思います。周藤先生、ありがとうございました。
次回の1月講座もたくさんのご参加をお待ちしております。

社会科授業づくり講座 9月講座(感想を追記)

社会科授業づくり講座 9月講座
日 時: 2022年9月18日(日)10:00~13:00
方 法:Zoomによるオンラインで実施(参加ID等は後日連絡します)
参加費 : 500円(学生または年間費をお支払いいただいている方は無料)
テーマ 「生徒に自分ごとの学びを促す授業」
講師 平井 敦子 さん(札幌市立中学校教員)
問い合わせは歴史教育者協議会https://www.rekkyo.org

2022年度9月講座 感想まとめ

1.講師平井敦子さんから
報告の機会を与えていただきありがとうございました。日常の授業というより、ちょっとだけ特別な授業ではありますが、みなさんの疑問に答えながら、自分でも実践を客観的にみることが少しできたように思います。
余談ですが、先日地理の授業で、中2の生徒に「東京」に関してテレビを毎日見てるかな?週刊誌など雑誌を買っているかな?ときくと、本当に今はそういうことをしていない。情報は、全国、全世界から発信されるYouTubeなど。一昔まえなら、新聞社や出版社名、テレビ局、地名のいろいろを地図帳で発見すると「あ、知っている!」と親近感がわくのですが、この反応もとても低くなってきました。
常に、生徒にじぶんごとにしていくには、こちらも、毎回、考えなければなりません。日々、考えること、これが授業づくりだなあ、と思います。

2.参加者の感想
<高校教員(元も含む)>
〇私は今年度より沖縄で教育活動をしているのですが、平井さんのような「沖縄」に移住するぞ!は可能か考えてしまいました。北海道と沖縄では飛び地という点で共通していますが、沖縄では沖縄出身者が多いし、開拓地ではない。うまく真似て実践できないものか考えながら聞いていました。
〇「戦時下の模擬家族いいよ」と聞いていたので、どうしても参加したい!と思っていた講座でした。模擬家族だけではなく「我が家の20世紀年表」、「よし移住するぞ」etc。あっという間の3時間でした。戦争は重いテーマですが、年表や模擬家族だったら高校生だって大人だって、暮らしがベースなので分かりやすく学び今を見つめる目を自身の中に育てることが出来そうです。目の前にいる高校生verにアレンジしてみようと思います。

<中学校教員>
〇今回の実践報告を受けて、当時の歴史の当事者が自分だったらどうするのか?という問い立て、「自分ごと」として学ぶ社会科学習の実践は、とても新鮮で印象に残るものでした。「自分ごと」に捉える授業の実践、私自身のこれからの授業づくりのヒントにしていきたいです。
〇平井先生の授業実践①家族100年史、②北海道の開拓とアイヌ、③模擬家族は「生徒が「自分事」できる」が共通するキーワードになると思いました。次に、平井先生の授業実践を私自身の授業実践にいかすことができないか、考えてみました。その上でも、今日の授業は生徒にとって「自分事」になっていたかと問い直していきたいです。
〇平井さんの実践のお話は大会でお聞きしたり、歴史地理教育で読んだりしていますが、今日は内容をさらに掘り下げ、さらには授業づくりに対する考えまでも聞くことができ、あっという間の3時間でした。
  社会を上から動かしてきた人々による歴史ではなく、この社会の基盤になる部分から動かしてきた民衆、そうせざるを得なかった人々に心を寄せる歴史観が、現代の社会を見つめ、「自分がその立場だったら・・」というエンパシーをもたせることにつながるということに、とても納得しました。
 
<小学校教員>
〇今回の平井先生の実践を聞いて、工夫次第で「自分事にする」授業が実現できるのだということに気づかされました。簡単にできることではありませんが、もう少し考えてみよう、頑張ってみようと思うことができ、それだけでも今回の講座に参加できてよかったと思います。

<特別支援学校教員(元も含む)>
〇北海道の移住も屯田兵くらいしか今まで授業で扱ったことはあまりありませんでしたが、実際に地図や写真をみるとどれだけ開墾が大変だったかとてもよく分かりました。そして開墾を進めるにあたってそこに生活の基盤を持っていたアイヌの人々の悲しみ・辛さをはじめて理解することができました。社会科の役割として地理・歴史・公民のいずれも「遠くのできことではなく、自分が生きている今と深く関わっているということ、そして、決まっていないこれから先の未来を学んだことからどう選択するのかを真剣に考えてほしいと伝えること」ではないかと強く感じました。
〇特に、授業の内容を生徒が「自分事」として学ぶとはどういうことか。そこを理解することが平井さんの授業論の核心と思いました。アイヌの歴史について構造化された授業 自分事として学ぶことが可能な授業 ―これは、沖縄の歴史、在日朝鮮人の歴史、原発立地地域の歴史等 テーマをおきかえてもできるのではないか。その可能性を平井さんの授業実践から感じました。
〇「北海道に移住する模擬家族」にしても「戦時下の模擬家族」にしても、歴史を「自分ごと」としてとらえる
ことができて、かつグループでワイワイと言い合いながらできるので、生徒たちが社会科が好きになるわ
けだと思いました。
〇生徒が「自分事」に感じる授業をするためには、教師が「自分事」に学ぶことの重さや豊かさを実感しな
ければという平井さんの言葉は、もう退職して久しい自分にも、高校生平和ゼミナールの活動を通じて、
生徒に伝えたいことがあるので、これからも「自分事」として学んでいかなければ…と思いました。

<大学・大学院教員>
〇決まりきった授業のやり方は教えることができます。だが、どう教材を発掘するのか、それをどう料理するのか、どう「自分ごと」にさせるのか。そのセンスの部分は教えることができません。だから、センスを磨きたいのです。「主体性」ってそういうことなんだよね。
〇今回、zoomのブレイクアウトルームを使った場面があった。私と同じメンバーだったのは、大学二年生が二名、大学三年生が1名であった。二年生は、まだ教職の授業を始めたばかりと言っており、大学三年生はまだ模擬授業を始めたばかりと話していた。社会科はどうしても暗記科目と認識されてしまう、という話題が話し合いの最中に出た。社会科を暗記科目と捉える認識は根強く残っている。この問題と向き合うことも我々の課題と言えよう。
<学生>
〇そのため、平井さんの実践の中にもあった、「さあ、北海道に移住するぞ!」は自分の授業と比較したり、知見を広げたりしながら見させていただくことができました。北海道の授業をする上で、北海道の歴史を土台として学ばないわけには行かないことをさらに深く感じることができました。授業作り講座で学んだことを今後にも活かせるよう、また私もたくさん勉強していきたいです。
〇今回の講座で一番感じた事は、何を伝えることを目的に授業を行うのかを明確にすることの大切さです。
〇今回の講座において「自分事として考えさせる」ということの難しさだったり、時間の使い方だったり、学ぶことがとても多くありました。写真1枚1枚に対する意味もしっかりとあり、ただ提示するのでは意味がないということも改めて理解することができました。
〇今回の講座に参加して、現在、教師として現場で仕事をしている方から実際にそこで行われている授業実践を聞いて学ぶことは、教職の勉強をする上でとても大切なことだと感じました。
〇私が今回の講座の3つキーワードを挙げるとすれば、それは「自分ごと、模擬選挙、模擬家族」です。
〇遠い過去のことや離れた地で起きていることを自分事として考えることは容易なことではありませんが、教師が意識して授業を作ることで手助けができると知りました。先達の良い授業を取り入れ、自分の教師としての力に結びつけたいと考えています。

3.司会より
 学生28名を含む48名という非常に多くの方が参加してくださいました。今回は、札幌で中学校の教員をされている平井さんが講師ということもあり、北海道からの参加者も非常に多かったです。学生の参加者もオンラインでの開催を始めてから増えてきています。年齢、校種、地域と参加者の広がりを見ると、対面で話せない寂しさやもどかしさはありながらも、オンラインだからこその良さも現れてきたように感じています。
 今回の講座では、「主権者としての生徒を育てる」、「生徒が自分事として考えられる授業をする」ことをテーマに大きく3つの実践を紹介していただきました。中学校での実践ではありましたが、小学校に務めている私にとっても、生かせること、考えさせられることが多く、校種や教科を問わず、大事なことをたくさん学ぶことができた3時間になったと思います。
 参加者が多かったことを踏まえ、初の試みでしたが、ブレイクアウトルームを使用した交流会の時間も設けました。学生からベテランの教員の型まで、幅広い視点や価値観での意見交流ができ、こちらも有意義な時間になったという感想を多数いただくことができました。今回はグループ分けを完全にランダムにしてしまいましたが、次回はグループ分けや時間配分も工夫することでよりよい交流の場へと改善できそうでした。司会、運営の課題として、次回に生かしたいと思います。
最後に、お忙しい中、講師を引き受け、素敵な実践を提供していただきました平井先生、改めてありがとうございました。各参加者、そして、それぞれが受け持つ子供たちへと今回の学びが還元されるよう、一参加者として、私も努力していきたいと思います。11月講座もオンラインにて開催予定です。こちらも多くの方のご参加をお待ちしています。

社会科授業づくり講座 6月講座と年間計画(感想を追記)

社会科授業づくり講座 6月講座

日時 : 2022年6月12日(日)10:00~13:00   
会場 : 東京学芸大学附属竹早中学校 4階 社会科室
※Zoomによるオンライン参加も可能です(ID等は後日連絡します)
参加費 : 500円(学生または年間費をお支払いいただいている方は無料)

テーマ 6年生の憲法学習―新学習指導要領下で憲法をどう学ぼうかー
講師 佐藤 幸二 さん(小学校教員)
内容 新学習指導要領改訂で小学6年社会科の歴史分野と政治分野の単元が逆になりました。憲法誕生の歴史を学ばずに憲法の中身だけを学ぶ。しかも「義務意識」が強調されるような学習でよいのかとの疑問の声もある中、現場は指導要領通りの授業が進む現状にあります。子どもたちが日本国憲法を「遠い存在」ではなく「身近な存在」としてとらえ、現憲法の中身や生誕の歴史をつかむ授業をどう創るか、さらに6年全体の社会科学習で憲法をどう深めていく授業を設定できるのかについて皆さんで考えたいと思います。

詳しくはチラシをご覧ください。
年間計画も合わせてご確認ください(最初の投稿から、9月の日程を修正しています)。
なお、お問い合わせはチラシに書かれている歴教協本部のアドレスにお願いします。

2022年度6月授業づくり講座のまとめ
◆テーマ:「6年生の憲法学習-新学習指導要領下で憲法をどう学ぼうか-」
◆講 師:佐藤幸二さん(埼玉公立小学校教員)
◆参加者:18名 小学校6名 中学校3名 高校3名 特支3名 学生 3名

◆佐藤幸二さんからのコメント
講座での発言、その後の感想を読むにつけ、小学校社会科が抱える問題点を多くの方々と共有できたこと、その問題を小学校教員のみならず中・高教員、さらに大学で学ぶ「未来の教師」の方々と検討する大切さを改めて実感しました。学校現場は多忙さを極め、追い打ちをかけるようなコロナ禍の対応は教員の「教えること」への制約をいまだに加えています。子どもたちが学ぶ内容を「自分事」と受け止め、自分の思いや願いを言葉に発して皆で真理を探究する授業づくりが大切です。

普段の生活から「平和」の中身を「自分事」としてとらえつつ、連日報道されるウクライナの「地下壕で爆音に怯え、手にするゲームで恐怖を紛らわす男の子、缶詰に指を入れてすくいながら空腹を満たす女の子」の姿を目にした時、私たちの子どもたちは「平和」とはどういった社会であるか、それを壊すもの、それを守るものは何かをあらためて考えてくれるのではと思います。アプローチこそ違え、憲法や平和を子どもと共に考える授業を今後も創造・実践したいものです。   

◆参加者の感想

○本日の佐藤さんのお話、大変興味深く聞かせていただきました。冒頭の井上陽水のことなど、佐藤さんのちょっと後輩の私には、とても懐かしいものでした。
中学校教員の私も、小学6年の社会科が政治・憲法→歴史の順になったことで、現場はご苦労されていると聞いていました。そのなかで、憲法を学ぶことで、その後の歴史を考える物差しになるという、どなたかのご発言には「なるほど、そういう考え方もあるのか」と思いました。
しかしながら、憲法三原則が歴史的背景抜きに学ぶことは出来ないと思います。
佐藤さんは、平和主義の学習に沖縄戦をとりあげて「へいわってすてきだね」とからめて、平和とは何かを考えさせる取り組みをされてとてもいいなあと感じましたが、やはり歴史を先に学んでいくほうが二度手間にならなくてよいかなとも思います。
中学校では、歴史を踏まえて現憲法の意義を扱いますし、人々のたたかいの末勝ち取った「憲法は国家権力を縛るもの」という点も理解しやすいと思います。(小学校では扱わなくても、中学校でも十分にできているか課題でもありますが)なにより「人権」や「民主主義」が「すでにあるもの」として学んでも、三原則の大切さが印象に残らないような気がします。
「住民が地域の主人公」「国民が主人公」という憲法の原則を、実際にたたかっている人々から学ばせたいと思います。(地理でも歴史でも)小学校で具体的な地域や時代に即してイメージを持たせられたら、中学校としてはやりやすいと思っています。小中の実践交流も大事ですね。いろいろと触発されたお話でした。佐藤さん、本当にありがとうございました。(Iさん)

○6年生の最初におこなった「鬼滅の刃をとおして、日本社会の歴史やしくみをのぞく」授業は、児童の流行や文化を把握した上で教材化をし、初めて出会う先生だったからこそ、児童の興味関心を高められたと考えた。日常から教材になるものを探して、授業実践をすることの大切さを感じました。
 新学習指導要領の下での憲法学習は、学校現場でも混乱を招いています。佐藤先生もおっしゃっていたように、憲法学習が先に来ると、日本国憲法が歴史の中でどのように位置づけられたものが分からないため、歴史学習との結びつきが浅くなり、理解を深められないと考えました。さらに、日本国憲法はとっつきにくいため、いかに言葉をかみ砕いてわかりやすく指導するかがより大事であることを学びました。
 「平和」を身近に考えることについては、ウクライナ戦争のこともあってか、私自身が「平和とは、戦争のない状態」という固定観念で考えていたことに気づかされました。普段の生活でやりたいことが不安なくできる状態も「平和」の1つであることを学び、もう1度「平和」とはどういった社会であるか、今の自分は果たして「平和」な状態と言えるのかと問い直すきっかけとなりました。日本国憲法の学習を軽視する反面、国防意識を重視するような内容も含まれていることは、歴史の中の憲法の過程を全く無視した、極めて危険な状態です。中高では単なる暗記だけに終わらず、戦争の惨禍を繰り返さないためにも、9年間(+3年間)を広く見通して、深め続けなければならないと考えました。(Kさん)

○今回、初めて授業づくり講座に参加させて頂きました。私は高校の教員をしているので、今回の佐藤幸二さんの小学校での憲法の授業についてのご報告は、いろいろな点で新鮮でした。普段接している高校生を見ていて、小学校以来憲法については、いろいろなことを習ってきているだろうと思っているのですが、その実際については、なかなか知る機会がありませんでした。その意味で、今回のご報告にはいろいろ目を開かれることがありました。
まず、小学校でこれだけ系統的に憲法学習がおこなわれていること、三原則はやはり必ず取り上げる一方、立憲主義については必ずしも教えないこと、従来は歴史学習が6年生の前半にあって、戦争の惨禍を知って、憲法の平和主義を学ぶため、その意義が自然に理解できるようにカリキュラムが構成されていたこと、ところが、最近の教科書ではこれが逆転して憲法学習の後に歴史学習が来て、平和主義と戦争体験の繋がりが子どもに見えにくくなっていることなど、興味深いと同時にとても心配なことを具体的な現場の事情を踏まえて語って頂き、よく理解できました。歴史学習を先に学ぶべきという佐藤さんの提案が業者テストとの関係で若い同僚の方々に受け入れられないというような話は、学力テストが全国一斉実施になって以来、小学校現場が大きく変わった、という以前からお聞きしている話に重なる重要な問題と思われました。
ただ、一方で実際に憲法を先に学んでいることで、歴史学習で戦争について学ぶ際にその意義を自覚して子どもが勉強できるという利点もあるとの指摘は、やはり授業してみないと実際のことはわからないということを改めて確認できました。憲法の学習を先にやらざるを得ないとしてもそれを前向きにとらえて、次の歴史学習の後、再度憲法について平和主義を中心に学び直すというやり方もあるのだろうと思いました。こうした点は社会科が解体されて科目別にバラバラに歴史や公民学習をせざるを得ない高校でも取り入れたい授業の在り方だと思いました。例えば、十五年戦争の学習の冒頭に、不戦条約を取り上げて日本国憲法の平和主義に繋がることを最初に学んで、それがどのような戦争体験から生まれてきたかをテーマに戦争の歴史を学ぶというような展開が想定できるのではないかと思いました。(Wさん)

○佐藤先生の憲法の授業実践について、特に印象に残ったのは絵本を用いて生徒一人一人の「平和」を考えさせる試みです。「平和」という言葉は「戦争がない」という状態を指すだけでなく、友達と話したり、家族とご飯を食べたりする日常が「平和」であると捉えなおすことはとても重要なことだと思いました。「平和」だからこそ、自身の楽しかったり、嬉しかったりする瞬間が守られていると認識することで、「平和」という言葉と日常生活がより結びつけやすくなると思います。そのような認識が、自身の「平和」が脅かされそうな時に抗議の声を上げることや、現代社会が置かれている状況が本当に「平和」であるのか問い直すきっかけになると思いました。「平和」を学ぶことは、自分や自分の周りの人々を大切にすることを学ぶことでもあると考えさせられた講座でした。ありがとうございました。(Rさん)

○正直に言いますと、これまでは小学校の先生の実践報告を「参考」としてしか捉えていませんでした。中学校や高校の授業に活かせることは何か、といった感覚で聴いていることが多かったです。しかし、この4月から小学校に配属されたので、今回は全てを聞き逃さないように、そして、今の授業に活かせることを探そうと、課題意識を持って参加しました。
 教科書がいろいろな意味で変わってきているなか、佐藤幸二さんは歴史と憲法の結びつきを薄くしないよう、授業の導入を工夫したり、歴史を学んだ上で、憲法について考えることができるよう仕掛けをしたりしていました。また、『鬼滅の刃』を年度当初の社会科の授業で扱い、子どもたちの関心をひきつけようとしている点が、本当に子ども想いの授業で良いなと思いました。そして、佐藤さんは、子どもが書いた絵を許容したり、子どもの関心事を意識したりと、子ども想いの先生だなと感じました。
 今回のお話のなかで得た情報として、今後の参考になりそうなのが、「単元の入れ替え」についてです。いろいろな場でお話を聞いていたからこそ、教科書の使用方法や単元構成、授業テーマの扱い方は、厳しいものだと感じていました。しかし、学習指導要領で指示がない限り、学校裁量で、単元の入れ替えや工夫はしても良いことになっていることを知ることができました。これによって、少し気持ちが楽になりました(あの後、学習指導要領の総則でそのことに触れる文言を見つけました)。小学校では市販のテストを使う関係で、大幅な単元の入れ替えはできません。それでも、前後を入れ替える程度のものであれば、自由がきくということが分かりました。4年生の社会科でも単元の順番に疑問を感じていたので、堂々と入れ替えることができます。
今年度は、3、4年生の社会科専科になりました。地域学習など、私がこれまで勉強してこなかった分野を扱っており、毎日授業をつくるのに、精一杯です。また、中学や高校と違って、小学生は一つ一つ丁寧にステップを踏む必要があるので、そこでも難しさを感じます。そんななか、佐藤幸二さんの授業づくりの視点と、寛容な姿勢が、とても勉強になりました。
また疑問として、6年生の段階で学ぶ「歴史」とはどのようなものなのか。6年生の歴史は、どのような扱い方をすれば良いのかということが気になりました。気になるテーマでもありますので、またいろいろな方と深めていきたいです。もし自分が、6年生を担当することになったら、どのような授業展開をしようか、と考えています。分からないことだらけの初任者で、毎日乗り越えるだけで精一杯ですが、やはり、この授業づくり講座に参加して良かったなと思いました。子ども想いの授業づくりを私も心がけたいです。(Yさん)                              

○小学校での憲法学習について、新学習指導要領になっての授業実践をとても興味深く聴くことができました。歴史学習と政治学習などの公民的な分野の教える順番が変わったことで現場の教員もどのように教えていくかで悩んでいる状況があることを知りました。その中で、これほどの実践が行えていることは、どんなこともやってみなければ新しい授業は見えてこないのだなと授業づくりの面白さを感じました。
 また、その時々の子ども達の流行りや身近な出来事を取り入れながら、子どもを社会科の授業へと引き込む導入などは自分も参考にしていきたいです。ありがとうございました。(Hさん)

1月授業づくり講座ー感想を追記

1月授業づくり講座

日 時:1月23日(日)10:00~13:00

*zoomでおこないます。

報告者:津田隆広さん(特別支援学校教員)

テーマ:小学校採用の私が特別支援学校で学んだこと

内 容:小学校採用だった私が特別支援学校に配属して8年が経ちました。まだまだ勉強不足で、学び続けることの重要性を痛感する毎日です。そんな中で感じることが多いのが特別支援教育というと多くの先生方が急に身構える傾向があることです。もちろん特別支援教育の専門的知識には学びに時間を必要とするものもありますが、すべての子どもたちに活かせる部分は決して難しいものばかりではありません。今回の講座は全ての子どもたちに使える視点、環境づくりと実態把握を中心にお話ししたいと考えます。

*参加を希望される方は、下記アドレスに御連絡下さい。 前日までに資料とURLをお送りします。 takako-ashibi@amail.plala.or.jp 090-4381-4463(黒田)

社会科授業づくり講座報告 1月20日(日)

発表者:津田 隆広(特別支援学校教諭)
テーマ:「小学校採用の私が特別支援学校で学んだこと」

*参加者 20名(学生6名、小学校2名、中学校4名、高校2名、特別支援6名)
<参加者の感想>
〇今回の講座を受けて、小学校の教員になる上で私にも身近な話であり、とても学びのあるものでありました。障がいの有無に関わらず誰もが安心して自由に生活することができるように環境を整備することが大切であると考えます。また、自分では手が負えないからといって障がいのある児童と正面から向き合わないのではなく、しっかりコミュニケーションをとって心身ともに安心できるように、心と心の距離を近づけていくことが大切ではないでしょうか。とても学びのある講座をありがとうございました。   

〇特別支援教育について、介護等体験や講義で知識を学ぶことはありますが実際に働いていらっしゃる方のお話を聞く機会はなかなかないため、様々な学びを得ることが出来ました。特に構造化やアセスメントのお話について、生徒さんの様子や保護者の方のニーズに応えるために津田さんが尽力されているということが伝わり、自分も津田さんの様に生徒と全力で向き合えるような教員になりたいと強く感じました。また、構造化のお話の中で「具体的にわかりやすい表現を用いて伝える」ことの大切さを教えて頂きました。日常生活や教職に就いた際の人との関わりにおいてもこの伝え方は円滑なコミュニケーションのために必要なことだと感じると同時に、わかりやすく伝えることは相手への思いやり・リスペクトの気持ちだと考えました。

〇素敵なお話をありがとうございました。私用のため最後までお話を聞くことが出来ず申し訳ありません。また、質問にも丁寧に回答していただきありがとうございました。
今回津田さんのお話を聞いて学んだことが2つあります。
1つは発達障害の方が感じている世界についてです。私たちはつい、障害のある方が自分たちとは別の世界で、別の考え方・合理性で生活していると考えがちです。しかし、Tくんについてのお話を聞いていると、Tくんの中にも私たちと同じ考え方・合理性があって、それが何らかの障壁のために違って見えているだけなのだろうということが感じられました。だからこそ、具体的な作業指示を出すことで健常者と同じ水準で労働することが出来るのでしょう。

〇特別支援学級の情報や特別支援教育に関する知識は、最低限知らなければならないことを強く感じた。特に、津田先生が述べていた「注意が通じない難しさ」は、小学校の教育実習で痛いほど思い知らされた経験がある。特別支援学級(情クラス)の授業を見学したとき、ある児童が図工の作業中にボンドが思い通りにくっつかないことに苛立っていた。すると、持っていたけん玉を担任に投げつけ、パーティションを倒して暴れ始めた。言葉で注意しても聞かないので、担任がその児童の体全体を押さえつけ、その間に私が教頭を呼んだ。やってきた教頭が別室でクールダウンさせたところ、落ち着きを取り戻し、作業を再開した。この経験から、今まで特別支援を要する子どもに目を向けていなかったことに気付かされ、めねぎ農園の鈴木さんのように「ガーン!」となった。困り感を持った子どもにしか行えない限界性にどうしようもなさを感じるとともに、今の学校教育の課題を見いだせるのではないかと考えた。

〇これまで特別支援学校については大学授業「特別支援教育」で少し学んだだけでした。そこで、今回の社会科授業づくり講座では津田先生の教育実践を含めて「特別支援教育」について深めることができました。まさに津田先生がおっしゃる通り「全ての子どもたちに使える視点、環境づくりと実態把握」を今回の社会科授業づくり講座では勉強させていただきました。私自身、教員1年目でありますが、「結局、教育とは何を目指しているのか」という大きな問いについて、別の視点から考える良い機会となりました。ありがとうございました。

〇今回の講座の内容はとても参考になりました。
多くの子どもがいる中で、正直なところ個別の対応までなかなか手が回らないことも多いのですが、工夫次第で確実に成果を出していく特別支援学校の取り組みに触れ、自分もできるところから、また始めてみたいと思いました。

〇最初の自己紹介から引き込まれました。津田さんとは長いおつきあいになりますが石井建夫さんから評価されたことから教職を目指したと初めて知り、いつも優しくひとりひとりを見守っておられた石井さんの大きさを改めて思いました。発達障がいについての説明もよく分かりました。さっそく石戸谷さんが貸して下さった『リエゾン』を読み、さらに考えています。「社会の中で働く」ことを実現するための特支の教員の苦労も察しました。私は20代後半に、新聞委員会の顧問をしていて「養護学校」と自校の生徒会の交流や地元の共同作業所に取材に行き、ました。共同作業所は地元ということもあって、バザーなどを手伝わせて頂きました。賃金が少なく、それでもここに来るまでは、テレビを見ているだけで、片方の手が動くことも解らなかったという方がゆっくりゆっくりと洗濯ばさみを揃えている姿に感銘しました。その方は、その作業を通じて社会とつながっているのだと知りました。

〇私は中高社会科の教員になることを考えているため、直接的に特別支援教育に関わることは少ないかもしれません。ただ通常学級のなかにもグレーゾーンの子がいるため、特別支援について知っておくことは必要だと思い、今回の講座に参加しました。印象に残ったのは支援の方法についてです。靴を正しく履くための方法についてでしたが、ただ履かせるだけではなく、支援とその実際の年齢があっているかを考えるとのことでした。私の考えにはなかったことで、発達に遅れがあるなどしても1人の人間として尊敬をもって接するとはこういうことだと実感しました。

〇改めて特別支援教育についての最新の知識や進路の話などを振り返ったり、津田さん自身の話から学校現場のことを知ったりと興味深い話がたくさん聴けた講座でした。
私は、肢体不自由の小学部、知的障害の高等部の児童生徒と学校介護職員、教員として一緒に過ごしてきましたが、知的障害の小学部での教育について知らないことがたくさんあったことに驚きました。小学部ではやんちゃな児童も中学部や高等部に上がる頃には落ち着いて過ごせるなど、今の高等部の生徒の成長は本人の努力ももちろんありますが、教員の分かりやすい指導や教育があってこそだと思いました。津田さんの熱い気持ちが伝わってくる講座でした。明日から学校で役立つ話も聞けたので、生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

〇最新の知的障害特別支援学校の状況がわかる話をありがとうございました。
私は数年前、長年勤めた肢体不自由特別支援学校退職し、今は非常勤講師をしています。肢体不自由特別支援学校と知的障害特別支援学校の教育環境、カリキュラムはかなり違っていることは勿論承知しているのですが、その実状はよく知りません。それが、今日の報告で特に教育環境の最新の状況が分かりました。よく分かりました。ありがとうございました。津田さんも「さつまいも」学習報告の後も同様な授業づくりを模索されていると思います。また機会があればそういう報告をしてください。

〇特別支援学校の様子であったり、児童生徒の実態や支援・指導方法を聞いたことで、4月から特別支援学校の教員として働く見通しをもつことが出来ました。

〇津田さんの話で学んだのは、以前「注意欠陥多動性障害」等と普通に言ってきましたが、今は「害」をとるという話。今、研究が進み、随分と「共生社会の実現」に近づいている部分があると同時に、コロナ下での差別や蔑視、能力主義や分断が進んでいると思います。今後も若くてパトスのある皆さんがいろいろ発信してくれることを望みます。

〇司会:宮下(実行委員)
1月講座も、学生の方をはじめや幅広い校種の先生方にご参加いただき、大変有意義なものとなりました。発表者の津田さんとは、大学の同級生でもあり、同じ特別支援学校の教諭として切磋琢磨しあう仲なので、今回の講座を私自身が一番楽しみにしていました。津田さんの話を聞いていて、「そうそう、そうなんだよね。わかるな~」「なるほど」など現場で働いている人間だからこそ共感できる部分がたくさんありました。特に「めねぎ農園のが・が・がーん」の本の話にあるように、障害のある方や特別支援教育への理解と支援の考え方が社会にもっともっと浸透してくれるとよいなと思いました。
また、これまで特別支援学校で培った経験について堂々と語る津田さんの姿に、改めて自分ももっと成長しなければならないと感じました。誰もが、「わかる・できる授業づくり」を目指すことは、どの校種の授業づくりにおいても大切なことだと思います。ぜひ、今回の講座で得たことを、参加者の皆様がそれぞれのフィールドで生かしていただけたら幸いです。新型コロナウイルスの影響下の中、先の見えない時代ですが、そんな中でも、当講座にご参加いただいた皆様ありがとうございました。
次年度の授業づくり講座もよろしくお願いいたします。

〇発表者:津田隆広さんより
皆さん、先日は講座にご参加いただき本当にありがとうございました。
授業づくりの顧問の先生方からも「話が長かった」とのお言葉をいただきましたが、時間を超過してしまったことは非常に反省すべきことです。臨時的任用をしていた時、私が中学生の頃、担任をしてくださった恩師と一緒に働く機会があり、常々恩師に指導されていたことが、「どんな良い授業も時間を守らなければ0点」ということ。個人的には今回の発表は時間を超過した時点で残念ながら0点です。ただ、今回参加してくださった20人の方々が3時間以上の時間を、私の話を聞くことに使っていただいたので、それに見合う内容を準備しようと努力はできたのかなと思います。
感想文もすべて読ませていただきました。どの感想にも私が皆さんにお伝えしたかったことが少しでも伝わったことが読み取れ、準備してきて良かったと嬉しくなりました。そんな中でも特別支援教育の世界で子どもたちを見てこられた、山下洋児様、竹下忠彦様お二人の先輩方の感想には自分の至らない点、勉強不足な部分を伝えていただき、身が引き締まる思いでした。山下様からご意見いただいた「精神薄弱」の部分ですが、完全な自分の勉強不足です。教えていただきありがとうございました。特別支援教育とひとまとめになってはいますが、特別支援学校の教員であっても知的から肢体不自由校に行くだけでも違う知識が必要になりますし、他にも病弱・視覚・聴覚とそれぞれの専門性が求められます。この5種をどのように紹介するかで悩み使用した言葉でしたが、間違って使用していました。また、特別支援学校での社会科の実践を聞けず残念だった様子が読み取れました。現状埼玉県の知的の特別支援学校で、時間割に社会科・理科の時間が明確に確保されている学校は少なく、課題学習も国語や数学が主な学習として取り組まれているようです。現在、勤めている毛呂山特別支援学校は高等部の時間割に社会科・理科がある学校なのですが、今年度はまだまだ実践が思い通りにならず、紹介できるものになりませんでした。高等部で仕事が続けられそうでしたら次回は実践の報告ができればと思います。すみませんでした。
 次に竹下忠彦様からいただいたご質問ですが、あれはあくまで私が担任したTさんの障害がASDだったのでASDのコミュニケーションにおける困難さの紹介から発達障害を理解する手掛かりを掴んでいただきたいという形で説明させていただきました。講座の参加者メンバーが主に通常学級の先生方なので、発達障害について事細かにすべて紹介することは時間的にも厳しく、また、私が意図することではなかったので、発達障害の詳細についてお知りになりたい方は本やネットで調べていただきたいとご紹介させていただきました。説明が不足していて申し訳ありません。
今回の発表はいつもの社会科の実践発表とは違い、皆さんに予備知識や補足で分かりやすく説明する必要があるので、その時間をどのように最小限で分かりやすくまとめることができるかも今後の課題であると感じました。逆に質問を参加者の方から募集して、それに答える形で準備をしてくるなんて発表もありですかね。当日はあまりに疲れて講座後、昼食もほとんど食べず、すぐに寝てしまうくらいヘトヘトになってしまいましたが、あれを当たり前のようにされる先輩方はすごいなと思いました。
夏休み頃から「発表を頑張りたい!」「3時間も引き受けてしまうなんて…」とプラスとマイナスの気持ちが入り混じる中で準備をしてきましたが、自信がない部分は再度、書籍を読んだり、他の方の研修内容、知識豊富な同期に内容を確認したりして勉強しなおしたので、本当に自分自身を見つめなおす良い機会となりました。至らない点も多くあったとは思いますが、今後も講座に来てくださった方々に負けぬよう、私も一歩一歩、実践を積み重ねていければと思います。今後も社会科授業づくり講座をよろしくお願いいたします。

2021.12.26関東ブロック集会

全体会
10:00~12:00
記念講演 大日方純夫 さん (早稲田大学名誉教授
「近現代「日本」を東アジアの視点で読み解くには―豊かで柔軟な歴史認識を獲得するために」
13:00~14:00
地域からの報告
東海林次男 さん (東京都歴史教育者協議会会長)「高輪築堤の現状」

分科会
14:15~16:30
①小・中学校分科会
②高校分科会A
③高校分科会B

詳しくは関東ブロック研究集会 – 東京都歴史教育者協議会:東京歴教協 (jimdofree.com)をご覧ください。
申込および参加費支払いの期限は12/17(金)ですので、ご注意ください。